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日本の電気は統一されてない!?|周波数50Hz/60Hzの違いと電気代への影響とは

年末は寒さが本格化して、暖房を使う時間が一気に増えます。うちも例外ではなく、朝の冷え込みに耐えられずにエアコンをつけ、足元の寒さ対策に電気ストーブを追加。乾燥が気になれば加湿器も…と、あっという間に“冬のフル装備”が揃います。

そして月末、届いた電気代の明細を見て思わず絶句。「え、今月こんなに使ったの!?」
節約のつもりで、こまめに電源を切ったり温度設定を下げたりしていたのに、あまり効果は感じられません。結局は寒さに耐えられず、強めの設定に戻してしまうこともしばしば…。毎年同じことを繰り返している気がします。

そんなある日、ふと電気ストーブの背面に目をやると、「50/60Hz」と書かれた表示が目に入りました。
「そういえば“周波数”って何だっけ?」「この表示って地域によって違うってこと?」と気になって調べてみると、なんと日本国内では、電気の周波数が全国で統一されていないんですね。
東日本は50Hz、西日本は60Hz。じゃあ、もし全国で周波数を統一したら何が変わるんだろう?
電力はもっと融通しやすくなる? 災害への対応力も高まる? それとも、私の一番の関心ごとである電気代が安くなる?

年末の高すぎる請求を前にして、素朴な疑問が止まらなくなりました。

なぜ日本は50Hzと60Hzに分かれているのか

周波数が東と西で異なる理由は、とてもシンプルで、「そうなった歴史があるから」です。

明治時代、日本に初めて発電機が導入されたとき、東京側はドイツ製の50Hz、大阪側はアメリカ製の60Hzを採用しました。そこからそれぞれの地域で発電や送電のインフラが独自に発展していったため、現在もその違いが残っているのです。

現代の感覚で見ると、「全国で同じにした方が便利じゃない?」と思うかもしれません。でも、いったん広く普及したインフラを変えるのは簡単ではありません。

この状況は、IT業界でよく聞く「レガシーシステム」や「後方互換性」にも似ています。
新しい技術が正しくても、すでに動いている仕組みを止めて作り直すには、とてつもないコストとリスクが伴います。特に電気のように生活に直結するものは、「止めないこと」が最優先になるんですよね。

日本の送電方式は交流(AC)送電。だから周波数が効いてくる

そもそも、日本の電力は基本的に交流(AC)送電です。

交流が採用されている主な理由は、電圧の上げ下げ(変圧)がしやすいこと。
電気を遠くに送るときは、電圧を高くして電流を小さくすればロスを減らせます。変圧が得意な交流は、その点で送電に向いているのです。

家庭のコンセントに届く電気も交流。だからこそ、ストーブなどの家電に「50/60Hz対応」といった表示があるわけです。「なるほど、これは“交流のリズム”の違いだったんだ」と、ようやく腑に落ちました。

ちなみに、過去に「節約のためにこまめに電源を切る作戦」を試してみたことがありました。
でもこれ、思ったほど効果がない。特にエアコンは、部屋が温まる前に切ってしまうと、すぐ寒くなってまたスイッチオン。その繰り返しで、かえって電気を多く使っていた気がします。
節約は「気合い」よりも「上手な使い方設計」が重要だと痛感しました。

周波数が違うと、電気を“助け合う”のが難しくなる

東日本と西日本で周波数が違うと、交流のまま電力を大量にやり取りするのは簡単ではありません。

「西日本では余裕があるのに、東日本は電力が足りない」といった話題を聞くと、
「え? 日本ってひとつの国なのに、どうして電気を融通できないの?」と昔は不思議に思っていました。

でも実際には、周波数が違うと、そのままでは直結できないんです。
イメージとしては、「電気はあるのに、それを運ぶ道路が細い」ような状態。需要があるときに、必要な分だけを自由に送り合うには限界があるのです。

周波数の壁を超える“直流送電”という選択肢

そこで登場するのが、直流(DC)送電です。

正直なところ、私は「交流=現代、直流=古い」と思っていました。
でも調べてみると、直流送電はむしろ今注目されている“現実的な解決策”なんです。

直流送電の特徴とメリット

つまり、周波数を無理に統一しなくても、直流を挟むことで「違いを超えて電気を届ける橋」がつくれるのです。

この考え方、個人的にとても腑に落ちました。
何でも“統一する”のが最善に思えますが、実際の暮らしでは「バラバラなものをうまくつなぐ」ほうが現実的で効率的なことって多いですよね。電力の世界でも、まさにそれが当てはまると感じました。

周波数を統一すれば何でも解決?──そう単純でもない

周波数を全国で統一すれば、広域での電力融通がしやすくなり、災害時の対応や再エネの活用にもプラスになると言われます。
理屈としてはその通りで、国全体を一つの電力ネットワークとして動かせたら、効率はきっと上がるでしょう。

でも問題は、その実現コストがとんでもなく大きいことです。

周波数に依存して動いている発電所、工場、制御システムなどをすべて作り直す必要があります。
しかも、途中で「ちょっとだけ切り替える」ということも難しく、まさに“全国総入れ替え”レベルの大工事。
当然、そのコストはどこかで誰かが負担することになります。

私が年末の電気代で「ストーブつけすぎたかも…」と反省しているのとはスケールが違いすぎます。

周波数を統一したら電気代は安くなる?

ここが多くの人にとっていちばん気になるポイントかもしれません。
でも残念ながら、「周波数統一=電気代が安くなる」とは限りません

むしろ、統一するためには莫大な工事費や設備投資が必要で、それらのコストは私たちの電気料金に跳ね返る可能性すらあります。

ただし、長い目で見れば希望もあります。
周波数の違いによる制約がなくなれば、再エネの活用がもっと進んだり、電力の無駄を減らせたりして、将来的に価格上昇を抑える効果はあるかもしれません。

でもそれは、「すぐに安くなる」という話ではなく、長期的な制度設計や運用の工夫次第というのが現実です。

ちなみに、私の電気代が高い理由は、周波数のせいではなく、たぶんこちら。

…家計に効くのは、制度改革よりも自宅の使い方改革かもしれません。

統一より「うまくつなぐ」が、日本には合っている気がする

全国の電力周波数を統一するのは、理想としてはわかりやすいし、メリットもあります。
でも現実を考えると、コストもリスクもとてつもなく大きい。だから日本では、直流送電のような“違いを前提にした工夫”のほうが現実的に感じます。

年末、ストーブの表示に何気なく目をやったのがきっかけで、100年以上積み上げてきた電力インフラの深さに触れることができました。
そして、今年の私にできる「統一」は、電力制度じゃなくて自宅の暖房運用の見直しかもしれません。

電気の仕組みは壮大だけど、まず変えられるのは自分の使い方。
次の電気代の明細が少しでもマシになるように、今年はそこから始めてみようと思います。